2014年7月19日土曜日

製材と乾燥







山から出したヒノキを製材し乾燥する。材木用に手入れされていたヒノキではないので有用な材質のものはなかなか無かった。良質な材木を作るならば間伐や枝を掃ったり手入れが必要だ。経験で物事を知る、実際に体験することで現実を知るということは読んだり聞いたりした知識ではなく、百聞は一見にしかず身をもって知りえた知識になる。漆の製品が長い年月を経て使われていることは事実、職人の人生を超えて得た現実なのです。例えば樹木の製材から有用な乾燥材に至るまでの期間や工程も経験で得た知識に勝るものはない。製材したヒノキを郷蔵で乾燥させる。通りがかりの坊さんがこれで何をされると聞く。蔵で使い東屋もこれで作ると言った。すると坊さんは今頃は乾燥の技術も進んでいますからねと言う。しかし今回は技術で乾燥させるわけではなく知識で乾燥させるのだ。割り箸や爪楊枝なら翌日に乾燥する、それならば必要な大きさにあらまし製材しておくと早く乾燥ることは今までの経験で知りえた事実なのだ。例えば杉の足場板などは乾燥材ではなく生木で製材され流通している、アメリカの2X4は米松の生木で流通され釘を打つと水しぶきが出る。それらの材料は数週間するとカラカラに乾燥している事実を何度と経験しているので針葉樹の乾燥については広葉樹に比べて分かりやすい。樹木には乾燥と伴うことに変形が有る。広葉樹はソレやワレが思わぬ方向に起こることがあるが幹が真直ぐな針葉樹は変形が想定しやすい。しかし私たち木製品の加工者は製材、乾燥、加工、販売とその後の責任を経験で熟知する必要がある。木工家の中には購入した材木が加工後に変形したと材木屋に文句を言う人がいるがそれは職人が一枚上をいかないと材木屋には酷な話なのだ。魚が上手いかまずいかは魚屋の口より職人の経験で分かれば問題は少ない。乾燥に要する必要な期間や工程は失敗から得た成功に勝る知識を超えるものは無い。

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