2010年12月22日水曜日

窓下キャビネットと極薄天板テーブル/ボセ柿渋





南港平林の青木木材でお客さんと吟味して選んだ杢のボセを使用して
窓下のキャビネットと極薄の天板で作ったテーブルが完成したので納品した。

窓下キャビネットは元々右側にテレビを置かれていたのでその位置にテレビが来る
その下にデッキを納めるため複数の棚を用意した。
子供さんが勉強できる様に天板をキャビネット扉から30センチ程出し
お客さんの希望で背面も掃除が出来る様にスベールを底に付ける動かしやすくした。
天板の木端とバックスプラッシュには希望通りに耳を残した。
パネリング・ドアはBLUMのフリーでダブルプッシュラッチを付ける。柿渋仕上げ。

極薄15ミリ、長さ2.5メーターの波の杢のあるボセを使用して座卓を作った。
耳付きで薄板をそのままの質感で天板にする。
15ミリ厚の天板にアリサネで4本渡し縦長2本を井桁に組んではめ込んだ。
天板のソレとたわみをを無くし薄板の質感を残した軽いテーブルにした。

有り難うございました、これからも宜しくお願いいたします。

2010年12月20日月曜日

abstract shake wall / 鎧壁(よろいかべ)






ちょっとジブリな感じで波のシェイクウォ−ル。
杉の丸太の挽きたてのボトボトをそのまま使って作ってます。
やたら目立つのがねらい。残材を薪ストーブでポッポと焼いて癒してます。

2010年12月14日火曜日

大和郡山/FULL MOON CAFE/店舗仕上げ




 インド人の松平健、クンナ からの紹介の仕事。
住宅の隣に作りかけた店舗があり工事途中で止まった状態。
ここをなんとかしてくれないかということで始まった。

上の写真が止まった状態の現状。
”FULL MOON CAFE"

今回の主役は三年前まで北新地で20年程お店を持っていたおばさん。
クンナお紹介でここの大和郡山まで移り住みこの店をやることになった。

店の名前はフルムーン・カフェ、誰が決めたのかこの名前なのだ。
場所的には24号線から見えるところなのでデザインが良ければ印象に残る店になる。

薄紫のすきなおばさんに室内は藤色の月の表面にしようかなと思っている。
激安で請け負ったこの仕事、さてどんななるかな?




2010年12月11日土曜日

木工の経営/岐阜県立森林文化アカデミー




12月7日、岐阜県立森林文化アカデミー の方達が工場にやって来た。
講師の久津輪さんから「木工の経営」について講義して欲しいと依頼が有ったからだ。

左奥の久津輪さんと生徒5人
事前に頂いた質問事項を基に約二時間半ほど寒い中ストーブを焚きながら講義した。

岐阜県立森林文化アカデミーからの質問事項と返答  Q&A

【木工の経営】

▼作品・製品について

Q: 新製品のアイデアはどのようにして出していますか?
A: 毎回新製品です、同じ物は追加注文以外は作りません。
デザインのアイデアを考える時は使う人を主役にして物語を考えたりします。
家具はその道具でありセットでもあるのです。
参考にしているデザインは自然の物からの頂くことが有ります、色とか形とか。

Q: 販売ルートはどのようにして開拓していますか?
A: 主に使用する方から直接注文して頂いていますが、商品が渡る販売経路としては
中間業社が入ることも有ります。例えば店舗工事の元請から椅子やバック棚の依頼が
有ったり。デザイナーからの注文で図面指定された物を作ったりします。
専門業社として下請け業務をするのでそこでは専門的なアドバイスをいつもしています。
例えばロココ調のデザインをイメージされている時は、そのイメージを具現化したり。
このまま作れば問題が有る様な構造的に想定される不具合を事前に改良したりします。
良い結果を出しているとお客さんはリピートしてくれています。
販売ルートという他の人に代理販売してもらうことは有りません。

Q: 作品の価格はどう決めていますか?
A: 価格のある定番商品は有りません。全て注文でありカスタムです。
同じ椅子でも例えば、一度に27脚頼まれると一脚あたり7200円でも
10脚だと9000円になったりします。
値段の出し方を簡単に言えば「材料+日当」と言うふうに説明する時が有ります。
その算出方法を上の10脚の椅子で説明すると、まず10脚に必用な材料を割り出します。そしてそれを作成する日数を出します。そこに一日当り必用な収入金額をを掛けて合計
します。ここの日当の中には減価償却費や工場維持費なども含めておきます。
その日当を割り出すには一ヶ月の必要生活費を一ヶ月の作業日数で割ります。
例えて現しますと。一ヶ月必用な生活費(収入)を30万円とします。
その30万円を一ヶ月働ける作業日数で割ります。一ヶ月の作業日数を20日とすると
30万円÷20日で一日あたり必用な最低収入が1万5千円となります。
しかしこれだけでは木工所の経営は出来ません。ここに減価償却費などの工場維持費
が必用になるからです。それら必要必要経費のことを英語でオーバーヘッドと言います。
例えば工場の賃料や光熱費など一ヶ月に10万円必用な場合は、それを20日で割り
一日あたりの必要経費を出しておきます。10万÷20日で一日5千円必要となり
ここで例に上げた一日あたりの最低必用収入+必要経費を合計すると二万円になります。
この一日あたり最低稼がなくてはならない金額を出しておけば作品の最低必用な値段が
出る訳です。下の椅子は先日配達した物で材料費2万円と製作日数3日で作っています。
一脚9000円のバースツールです。

▼お客様とのコミニュケーションについて

Q: 注文はどのようにして獲得していますか?
A: 注文を獲得するには営業が必要です。
特に自分の場合2006年に帰国して全然知らない精華町に木工所を構えてスタート
しているので認知してもらうことが何をするにも前提に必用でした。
2006年に帰国したものの初めの一年は単身でアメリカに戻りアメリカで仕事を
していました。それはアメリカには15年と言う今までの繋がり有ったからです。
しかしそれでは日本に根が付かないので2007年の7月からは帰米せずに居留まり
ました。以下は帰国してからやって来た営業方法の失敗例と成功例です。

  • 新聞折り込みに入っている無料新聞への広告 費用35000円 (注文無し)
  • 新聞広告 無料 (注文無し)
  • チラシ5000枚配布、自分で土地感を持つ為に配布した。(反応ゼロ)
  • ネット地図で建築家などを調べピンポイントで営業に回る。(店舗工事をする)
  • 看板作製 (通り行く人らが来店、テレビや新聞にもつながった)
営業結果の結論としては上三つの「人:紙」は駄目、紙は仕事してくれません。
ピンポイントで営業した「人:人」は結果、店舗の工事に有り付けた。
そして次に働いてくれるのが看板「人:看板:人」、メディアに取り上げられると
宣伝効果はかなり有ります。興味の有る方はネットや局に問い合わせて連絡されています。
いずれの営業方法にも共通して効果があるのが、ホームページやブログです。
チラシをまいたり新聞に載ると検索数が上がるのでネットで検索される方が多いです。
ウチの場合、ネット検索はあくまで補佐的な形で効果を現しています。

Q: 家具の注文やワークショップのお客さんは、どのようにしてそちらの工房を知るのですか
A: ワークショップや木工教室はしていません。
認知は少しずつです。大切なことはせっかくありついた仕事に良い結果を出して行く
ことです。そうするとそこからまた枝分かれして広がって行きます。

Q: 自社作品・製品はどのようにしてPRしていますか?
A: 特にPRはしてません。ホームページやブログで作った物を見せてます。
作った物が知らない間に広がって行ってくれることを望んでます。


▼工房運営全般について

Q: 工房運営で一番大事なことは何ですか?
A: 目標を持つ。自分の立ち位置「夢」をイメージする。
好きで持てた工房ならそれを維持するのに努力しないと続きません。
やめることは簡単です。目標や夢をイメージすると続ける為の力になります。

Q: 工房運営で一番困ったことは何ですか?
A: 怪我(ケガ)
自分で木工所を持ち始めたのが1993年からでそれが独立した時です。
アメリカから今まで17年間ロングビーチ2件、サンペドロ、精華町と工房運営してます。
思い返してみると一番困ったことはと言うと「怪我」ですね。
作業中に怪我をする訳なのですが、請け負った仕事を完了しなくてはならない。
今までメキシコ人に怒鳴りながら仕事をしていたのが怪我をしてカタワになると自分で
作業ができなくなり、人に代わりにやってもらわなくなります。あの時は上手いこと人を
使って仕事したなと思い返します。そう考えるとこれから体が老いてくると上手く人が
使える様になるのかななんか思ったりします。大きな怪我は二つ、どちらもテーブルソー
を使っている時です。一度は爪楊枝ほどの木片が眼球に刺さった時です。爪楊枝を目ん玉
に挿したまま病院をたらい回し、自分で運転してUCLAの病院に行き顕微鏡で見ながら
抜いてもらった。一度はキックバックで左親指の骨折、この骨は体の中で一番堅い骨で
完治するのにすごく時間がかかった。

Q: 本業だけで生活できなかった時(がもしあれば)、どんな副業をしていましたか?
A: 考えてみれば副業とか大工以外に穴埋めで仕事したことは無かった。
自分の場合色んな種類の大工をして来たので色々今もやっています。一般的な建築の大工
から家具職人、映画や舞台の美術の大工もします。今もそれらの仕事は続けてます。

Q: アメリカに行かれる前は主に大工としてどのようなことをされて来たのですか。
A: 初めてハンマー(殴り)を持ったのが二十歳頃、暗黒舞踏 大駱駝艦の野外舞台を
作るときが言わば大工の始まりだった。丸太とバンセンで野外劇場を作るのです。
作った後は舞台の本番付きで裏方をやる。こんなことをアメリカを行く前は続けて
ました。大阪の維新派と言う劇団もやってました。それ以外にも現金収入の為に
展示会の大工をやってました。展示大工の時は工場付きが多く、寸角、胴斑とベニアで
色んな形の物を作っていました。これも造形をする上でだいぶ勉強になった。
帰国してからの仕事で2008年に昔の舞台監督の友達からまかされて建てた映画のセット
丸太バンセン組構造で高さ28メーターのダンボールの城「築城せよ!」棟梁しました。

▼ワークショップについて

Q: ワークショップでの子供や親の反応はいかがですか?
A: ワークショップ、子供木工教室はしてません。

▼材料について

Q: 雑木を利用した家具に対するお客さんの反応はどうですか?
Q: 雑木を使うことは、お客さんにとってどのような意味(利点?)があるとおもいますか?
Q: 山のこと・木のことでお客様に伝えていることはありますか?
A: 雑木の家具について。
ウチの工房は雑木の山とお客さんの家の間に有るのです。
里山で伐採された木がウチの木工所に来て家具となり姿を変えお客さんの家で使われる。
街に住むお客さんは山をあまり知らない。僕の仕事は山をお客さんの家に持って行くこと
です。精華スタジオは元製材所で製材機が備え付けてあり原木の丸太を板に製材できます。
里山にはつい半世紀前まで利用されていた薪になる広葉樹が多く有り今は利用されていま
せん。それらは材木商に流通する樹木の種類でない為、伐採すれば椎茸のほだ木になるか
紙の原料としてチップ工場で廃棄処分されています。それらの木を入手して家具にする
ことで安価に提供することが出来るのですす。材木商に置かれている材木が美人なら雑木
には節は有るしシミはあるし虫食いはあるわで美人では有りません。しかしこの欠点を山
の特有な個性と生かし当工房で作品として再生さすことが僕の仕事だと思っています。
精華スタジオは木と話し、人と話し、木と人とを結ぶ所なのです。

当工房で使用する樹木には西アフリカからなどの熱帯雨林の木が有ります。
幹の直径が1メーターを超える樹齢500年以上の巨木です。
これらの木を使用する時は大阪の平林までお客さんに来てもらいます。
そして僕はこの木の話、熱帯雨林の話、この木を倒したことで樹海が無くなり再生できなく
なることなど説明します。僕はこれらの木を樹木のレアアースと呼んで説明します。
  大阪南港平林 青木木材

以上、平成22年12月7日
岐阜県立森林文化アカデミー 非常勤講師 若吉浩司の「木工の経営」の講義でした。

久津輪さん有り難うございました。
また宜しくお願いいたします。

2010年12月3日金曜日

京都新聞 掲載/2010年12月3日


京都新聞、掲載有り難うございました。
二時間半の取材、上手くまとめて頂きさすがやなぁ。