2009年5月1日金曜日

「蟹工船 」 美術応援




SABU監督の映画「蟹工船」が6月下旬より公開されるのを先駆け
先日梅田の東映試写室に製作スタッフとして試写を拝見する事が出来た。

この作品には、友達である美術監督の磯見俊裕さんのお誘いで去年の12月に
栃木県へ美術応援の造作大工として参加させてもらった。

作業現場はセットの設営場所である倉庫とスタッフの宿舎であるマンションが隣り合わせで
それはそれは短期間の設営をする私達がまさに蟹工船の雑夫状態であった。

「CGで芝居の出来る役者は日本に居ない」と断言する磯見さんのセットは
役者が演技をするセットは基より現場の「場」作りから拘りが有る。

壮絶なパイプ配管で作られた蟹工船の船内はあり得ない様な構造ででパンクに仕上げられ
ドラム缶で出来たたタコ部屋は現代のカプセルホテルを捩り
大きな滑車を回し稼働する船内工場は一人休めば連動しなくなる強制労働を現していた。

大工の仕事も色々有り美術大工の装置が今回の仕事。
作業中はよく写真のSABU監督が来られ、作った物をスケッチされていた
きっと気に入ってもらえてたのだと思う。

私が担当した物はこれらです。

通路、宮口が自殺をするトイレ、ボイラー室の配管、ゆでたカニを載せる台
ベルトコンベアーにカニの身と缶を載せるシステム、
タコ部屋の暖を取るボイラー、無電室の配線、役員室の配線とカーペット、額縁,金庫代、
甲板のハッチとドア、甲板のリベット、ロシア船のバックパネル

塗装部さんが居るので下地までですが、一部家具は塗装も引き受けた。
大まかな指示は有るがお任せで作業出来るのでなかなか面白かった。

関西出身であるSABU監督の蟹工船は小説を忠実に表現しているのではなく
主人公である新庄(松田龍平)の独特な雰囲気を引き出し船員の雑夫達の心に詰め寄る、
そして回想シーンでは監督ならではの演出でお笑いもしっかり含まれていた。

25席しかない試写室には補助席も増やし満杯の状態
メディア向けの試写とも有り新聞、雑誌、評論家等のメディア関係者達が集まる中
ピンクのジャケットで最初に入場されたのは「ありがとう」の浜村淳さんだった
「持った刀をバッタと落とし小膝たたいて・・・・」の名調子で評論が楽しみだ。

0 件のコメント: