ネットから私の工房の事を知り、お問い合わせの有った方からの
注文を受ける事になった。ホームページからの仕事は初めてになる、
お問い合わせいただき有り難うございました。
依頼者の方は京都在住の方でクラフトフェアーの時に来て頂き、
ラフスケッチを持って来られたのでその時に
寸法、材料、仕上げ、その他の要望などを聞き後日に
私から、製図、材料のリスト、工作期間内容、と見積もり金額を出し
電話とEメールで打ち合わせをして契約に結びついた。
要望は、白っぽい木目の見える仕上げ、左下にゴミ箱を収納出来る
様にしたい、取っ手は付けずにドアに溝をつけて開ける様にしてほしい、などであった。
最初にこのカップボードを分類すると家具としてではなく
キャビネットとしての物として考える事にした。
キャビネットとは備え付けの家具と考えてもらえば良いと思う、
アメリカでは私のやっていたCabinet makerがその仕事を請け負っていた。
キャビネットの構造を考える上で最初に決めないと行けないのは
ドアの付き方だ、付き方によってどのような蝶番を使用するか、
そしてデザインも変わってくることになる。
ドアに溝をつける部分を英語では finger pullといい、この部分を付けるには
ドアは枠の外に付いていないと指が入らない、このドアを付けるときは
フェイスフレームと言う枠を付けてオーバーレイでおさめるのが普通だが
蝶番のメーカのBlumに問い合わせてもフェイスフレーム用のヒンジが
まだ日本では売られていないと言う事で、今回は従来のヨーロピアン・ヒンジを
使用する事にする。フェイスフレームと言う言葉も後五年、十年すると
日本でも業界人が認知し始める言葉だと思った。
木を白く見せる方法はいくつか有るが、一般的な方法は
ホワイトウォシュと言う方法で、白やピンクの顔料をステイの中に入れ
ブラシで塗りそして拭き取る。もう一つの方法はクリヤーのニスの中に
白い顔料か染料を混ぜて吹く付ける方法だ、この方法はラッカーや
ニスが時を立ち黄ばむのを白を混ぜる事により分からなくする方法である。
今回は白木の材料の仕上げにウレタンに白を混ぜて塗装する事にした。
キャビネットの中のゴミ箱は trash bin といい、ドアが斜めに傾いて
使用する方法と、引き出し式の台の上にゴミ箱を置き、引き出すと
上のフタが空く物と有るが、日本ではキッチンキャビネットの
そういう付属品もあまり売られていないのでゴミ箱は市販されている
物を使用してもらい、簡単な措置を作る事になる。
アメリカで使用していた材料ではなく、日本の材料で作ると言う事は
材料の価格的な事とかもこれから学習して行かなくてはならない。
ベニア一枚にしてもこちらでは900x1800ミリだが
アメリカでは1200x2400ミリだったので使用枚数が大きく変わる、
今回のキャビネットは床から天井までの高さで引き出しやドアが付いていて
幅一尺(30センチ)あたりの単価を3万円程におさえた。
部分的に見えない所はコンパネを使用するなど工夫する。
これは限界の価格に近く、この価格でどうやってよく見せるのかが
今回の仕事のテーマの一つでもある。
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