東大阪の金物団地からの帰り生駒山を登ろうと170号線を北に向かっていると
石切の手前右手に「碁盤と将棋盤 製造販売」と書いてあるカンバンが見えた。
夕方で後に予定もなかったのでどんな事されているのか工場を覗いてみた。
近寄ると機械の音がしている、中では直径三尺近く有りそうな丸鋸の昇降盤で
一尺角は有る無地の針葉樹らしい木をブロックに切られていた。
それは碁盤や将棋盤に使う榧(カヤ)の木だった。
職人さんが私の存在に気づいたが何も言われないので鉄の門扉の敷居の
所まで寄ってみるとモアッとした臭いがした、ん〜これが榧か。
年配のおじさんは切り終えた一尺厚は有りそうな榧のブロックの小口に
薄めた白い木工用ボンドを塗り始めた、乾燥による割れを防ぐ為だ。
既に10年乾燥させた木を切り、ここからまた数年乾燥さすらしい。
碁盤や将棋盤の様な大きなブロックは人工乾燥では中まで乾かず
後に表面が割れてくるため天然乾燥でゆっくり乾かさないと物に成らないと言う。
そして仕上げにはロウを前面に塗って仕上げるらしい
蜜蝋など天然のロウはいろいろ有るが、一番安い仕上げには
ロウソクのロウを溶かして塗り込むという。
確かにロウはワックスの役目をして、小口の息を止めて割れも防ぐし、
何より滑りが良いので盤には適している。
榧と言う木についてあまり知識がないのでいろいろ聞いてみた。
結構臭いがするので、榧を切った日は家まで臭いを持ち帰るらしい
「あんた今日榧切ったやろ、臭っ」と言われるらしい。
盤にするには心を外さないと使えないので直径一メータ程必要になる。
日本には少なくなり17年程前から中国産が入ってくる様になった。
今は輸入の規制が掛かる様になり入手も困難になって来たらしいが、
業者の知る話に寄ると大量の榧が国内のどこかに眠っているらしい。
安物盤にはスプルースが使用されていた。
榧は針葉樹で容姿を聞いてみると「もみ」にそっくりらしい。
直径一メーターにも成る幹だから背も高く枝を横に張って行くと言う。
榧ではないが「もみ」と言うとアルプスの少女ハイジでオンジの家の横に有る。
背の高ーい枝の張ったあの木で思い出す。
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