付加価値とはある「もの」が有している価値と、それを生み出す元となった「もの」の価値の差のことである。このタンスの場合、元のタンスに彫刻を施すことによって価値が付加されることで高価値なタンスとなる。ということを期待する。名の知れた芸術家の場合その人物が手を加えることにより付加価値が付くこともあるが、私にはまだそこまでのネームバリューは無い。
着物を入れる和タンスを作って欲し。製作者によって仕上がりは異なり同じものは二つと無いのが物作りの面白さでは有るが。それを生み出される地域や文化によってそのものの傾向や流行などがある。またそれが同じ製作者であってもその人の年齢や経過により作品は変わってくる。
今回のタンスは今まで経験したタンスの中でいくつかの点に気をつけた。ひとつは総重量、一つ一つの部材が大きいとかなり重いものになるからだ。基本的にタンスは一度置くとそんなには移動しないがやはり移動する時があるので総重量が大切な事は今までの経験から気付くことである。もうひとつは付加価値の部分である。作り始めの頃は先人の作品の真似から入るが慣れてくると不要なものが省かれ自分のものが加わってくる。これは音楽でもなんでもそうだ。僕がギターを弾くと聞けたものではないが家具や木工をするならそれなりに見せられることが出来る。これはこのことについては今までの経験と経過でもっとも自分が表現できる分野でもあるからだ。またこの作品の付加価値を上げるにはこれからも継続してこの仕事を続けていくことでもある。