2014年5月27日火曜日

タンスに彫刻 付加価値を付ける






 付加価値とはある「もの」が有している価値と、それを生み出す元となった「もの」の価値の差のことである。このタンスの場合、元のタンスに彫刻を施すことによって価値が付加されることで高価値なタンスとなる。ということを期待する。名の知れた芸術家の場合その人物が手を加えることにより付加価値が付くこともあるが、私にはまだそこまでのネームバリューは無い。
 
 着物を入れる和タンスを作って欲し。製作者によって仕上がりは異なり同じものは二つと無いのが物作りの面白さでは有るが。それを生み出される地域や文化によってそのものの傾向や流行などがある。またそれが同じ製作者であってもその人の年齢や経過により作品は変わってくる。

 今回のタンスは今まで経験したタンスの中でいくつかの点に気をつけた。ひとつは総重量、一つ一つの部材が大きいとかなり重いものになるからだ。基本的にタンスは一度置くとそんなには移動しないがやはり移動する時があるので総重量が大切な事は今までの経験から気付くことである。もうひとつは付加価値の部分である。作り始めの頃は先人の作品の真似から入るが慣れてくると不要なものが省かれ自分のものが加わってくる。これは音楽でもなんでもそうだ。僕がギターを弾くと聞けたものではないが家具や木工をするならそれなりに見せられることが出来る。これはこのことについては今までの経験と経過でもっとも自分が表現できる分野でもあるからだ。またこの作品の付加価値を上げるにはこれからも継続してこの仕事を続けていくことでもある。

2014年5月25日日曜日

衣装タンス 引出し収まる



直径1メーターほどあった栃の木からタンスの用材を取り、引き出しをはめ込んだ。引き出しの底は桐、それ以外はすべて栃で作っている。裏の背板をはめる前で仮の筋交いを付けている。引き出しの容量はいっぱいいっぱい取っている。タンスの用材は大きさ的にはテーブルを作るよりはるかに多く必要になる。反れの少ないものを選び適材適所に使う。これは大きな直径の心材で割れはあったが木取りのレイアウトですべて共木(ともぎ)でまかなえることが出来た。

アメリカで作っていた和タンス 手打ち金具



アメリカ在住中には日本人として和を求められる仕事が多かった。それは衣食住問わず多国籍のなかで日本人に求められる文化だからだ。大工では和室、床の間、能舞台などをやった家具類では障子や和タンスなども作っていた。この写真の和タンスは中でも思い出深いもので注文していただいた方は世界中に高級寿司店を展開されているNさんの奥さんからだった。仕事柄接客用に多くの着物を持たれている。
 すべて向こうの材料を使用して作った。材料はホワイトオークでケヤキのように見せかけ、金具は鍛冶場を作り自分で手打ちで作った。南部鉄瓶と同じ方法で焼けた鉄に漆を塗って仕上げた。日本に居るとわざわざやらないことも向こうでは現地の材料を駆使して色々やったものだ。

2014年5月23日金曜日

衣装タンス 和金具




京都夷川通り(エビスガワ)というと家具の街そこにある室金物は和洋・家具建築と色々取り揃えているがその中でもやはり和の金具はここでしか手に入らないものがある。
 
アメリカでの話ももう一昔前になるが帰国の際にはここに寄って床の間の掛け軸をかける金具などを買いに来ていた。それらの和の金物は右手階段を上がった2階にある。カウンターの前にはサンプルが沢山 壁やショーケースに展示されている。今回買った和タンスの取っ手のワラビやサルカンもピンキリで取り揃えてあるが、ピンといってやはりちょっと高い。手打ちの金具になると6000円程からになる。こういう社寺から指物の職人さんが来るところと言うと大工道具天なんかそうだが、あまりにも専門的で素人には冷たいところがあるがこちらの室さんの2階担当の方たちはそんなことではあかんと言う考えなのか、とても親切です。お高く止まらないところがほっとする。あれも使うてみて~これも使うこてみて~といわれるが銅の小さな蝶番値段を聞いてびっくり、ちょっとこれは使えんわ。鍛冶やさんの話になりショーケースの中の手打ちのクサリを見た、100年前の職人さんが作ったものらしい。鎖の最後に付けられた引っ掛けるところの部分のねじりや鎖に切れ目が無い、形がなんともいえない均一で人間的な曲線が出ていた。もうこんなような仕事を出来る人はいないという。鍛冶屋の鉄の仕上げに綿拭き(ワタブキ)と言う作業があるこれをすると表面が黒くなり錆びることはあるが保護になる。正絹の帯で熱した鉄を拭くということは何度か試したことが有ったが成功しない。こちらの店ではこのワタブキの作業もされているがこの話になると「それは企業秘密です」と口は堅かった。そこはさすがに腰は低くならなかった。



2014年5月21日水曜日

Wave タンスの彫り テスト


タンスの前をこんな感じで彫ってみようかな。
知り合いの仕事でチャレンジさせてくれるおまかせ。
この栃にさわっているとこんな感じに彫りたくなった。
Wave

2014年5月20日火曜日

栃 トチ Buckeye






今日は衣装タンスに使う栃を帯鋸で製材した。
栃を扱うのは初めてでアメリカでも使ったことは無かった。
だいたい知識として有ったのは木目に波があり
カンナがかけ難いという作業面での困難な事ぐらいで。
実際にはどんなものなのか扱ったことがないので分からなかった。

五年間室内で乾燥されていたもので
乾燥の状態はかなり良かった、思ったより比重が軽い。
白い木ではカエデよりも軽くて鑿は入りやすそうだ。
思ったほどしっとり感は無く超上級の材と言う感じは無い。

波の木目はサンディングで仕上げると杢になる。
そういうわけで栃すなわちBuckeyeというとエレキギターなどに
杢をいかしてよく使われている事で有名だ。

この木は盤の時は気が付かなかったが帯鋸で挽くと
シラタの部分にミネラルが多くあった。
英語ではミネラルと言う、これは健康な状態のものではなく
伐採されて少し経った物の様に思える。
伐採後しばらく経つとキノコなどが出来て養分を吸われる。
そうするとこのようなぷつぷつしたものが出来るのだ。

しかし木にはこういったものは当然あるもので
まだまだ有用な材木である。
これらのものを省くのではなくいかにして
味を引き出すのかが楽しみの一つでもある。

無性に彫ると気持ちをかきたてる材木の質感でもあった。





2014年5月19日月曜日

栃で衣装ダンス製作 





栃材で和(衣装)タンスを一本作ります。
大阪南港平林に目星をつけいていた栃を引き取りにいく。
幅1メーター 厚み9センチ 長さ3メーターの心材。
平成20年4月10日に製材された栃は
奈良と大阪の県境にある金剛山で取れたものだった。

樹木の年輪の心は乾燥すると必ず割れる部分になる
その心の横からは柾目の狂いの少ないものが取れる。
この大きさの板でも割れが激しいのでテーブルには使えないが
タンスの部材を取るには適している。

鹿背山の郷蔵はデッキを張り、窓枠の下地と筋交いを入れた。

日本のチェリーは小さいが甘すっぱくておいしい。
枝ぶりが低いので斜面に座りながらそのまま食べた。




2014年5月15日木曜日

古材廃材 三寸のデッキング


このデッキは廃材で作っています。
都心では廃材を利用した店舗も最近は多いため
大阪あたりでは廃材は無料では有りませんが
奈良の方ではまだ無料なのです。

廃材を利用する上でデメリットは多いですが
メリットはこれだけのものを作っても無料と言うことです。
ならまち近くの産廃には古い家屋の材料が多く良い材料も有ります。

廃材で最も多く見られる材料は三寸の角材や三寸の厚みの梁です。
三寸は約10センチほどでデッキにするにはぶ厚いですが丈夫なものになります。
そのまんま使用しておいているだけなので厳密には平らではないですが
オーナーの青木さんはこれでOKなのです。
現場によって仕事の内容を臨機応変に対応しています。

2014年5月14日水曜日

鹿背山の郷蔵 作業再開




京都府南部 木津川市の鹿背山は柿の産地で有名なところ。
こちらに住む青木さんというおじさんが村に残された
江戸時代からの年貢米を保管されていた村の郷蔵解体に反対され
自費で自分お敷地に移築された、それも自分で。

この郷蔵はここに移築されて20年程が経つ。
完成途中で放置されていたため傾きがひどく
柱の腐りなど危険な状態だったが去年から私が補修を行ってきた。

去年の9月以降作業できる機会が少なくなり12月に裏のデッキを
作り始めたが途中から他の仕事で来れなくなり
今年はほとんど来れていなかった。
やっと時間が取れそうなのでなんとか仕事を進めてゆきたい。

この仕事には青木さんからの概要(コンセプト)があり。
一人でやること、これは自分が移築した当初一人でやっていたからで
それを引き継いで欲しいという意味らしい。
もうひとつは材料を買わない。といってもまったく買わないと
いう訳にはいかないが材木に関しては古材または
山の木を使えということなのだ、なのでここに使った中の柱は
山にヒノキを伐採して使用している。

表と横は出来るだけ元の形を資料を参考に維持し
裏の方はデッキと窓などを付けるのでデザインさせてもらえる。
面白いプロジェクトではあるがなかなかがんこなオジサンなので
いろいろと一筋縄では行かないところもここの難しさでもある。

2014年5月8日木曜日

メラミン(デコラ)の張り方 Part 1

ウチのブログの統計ではメラミンのページをよく観覧されているようです。
それでは今回、現在作業しているそのメラミンの張り方についてお教えいたします。

メラミンを張る面より数センチ大きめに丸鋸などで切り
あまったメラミンでクシバケを作ります。数枚合わせて溝はバンドソーる。

張る面の下地は平らに調整する。
水性のパテははがれるので車修理の樹脂系のパテで平らに仕上げる


下地準備にやすりで平らに仕上げる平面を曲げないように
金やすりを両手で平らに仕上げる。

メラミン用の履け塗り用速乾ボンドを適量を中央にこぼす。

作っておいたクシバケを8の字に伸ばす。
このクシバケだとローラーや刷毛より早く広くすばやく伸ばせます。
端はクシバケで外に伸ばせばすぐにぬれます。
このクシバケはローラーや刷毛を買わなくて良いので経済的で合理的なのです。
このやり方はアメリカで学びました。

クシバケの溝は乾いた後も肉厚があるので接着に良い。
この速乾ボンドは張り合わせる面の両面に塗ります。
出てさわりべとつかなくなると接着可能です。
このボンドはパンク修理に使うものと同じものです。

パンク修理ではゴムの両面をやすりで削った後に
このボンドを両方の面に塗りべとつかない程度に乾いた後に
ゴム同士をくっつけます、しっかり付くようにハンマーでたたきます。

メラミンの時も同じで両方の面に塗り乾いてから張り合わせます。
べとつぃた状態で張り合わせるとボンドが缶に入っているときの状態と同じで
乾かない状態になるからです。

この速乾ボンドはくっつくとはがれないので
このように細い棒を並べて材料がすぐにくっつかないようにしておきます。
この状態で張り合わせる位置を決めます。

張り合わせる位置が決まればこの棒を一本づつ抜いてゆきます。

棒を抜いた後にとっても大切な工程がローラーで押さえることです。
これをしっかりしないと後ではがれてくるのです。
しっかりとクシバケの溝で出来たボンド同士を押さえ合わせるのです。
しっかりとローラーをすることは大変大切な工程なのです。

これを棒でパンパンたたいたり適当にすると
一見くっついたようですが一年後ぐらいにはがれることがあります。


ルーターでベアリングローラーの付いたビットでメラミンをフラッシュに切り落とします。

メラミンの作業で使うビットは二種類有ります。
左が直角に切り落とす初めに使うもので
右のものは焼く22度の角度の付いた面取りです。

どちらもベアリングのローラーがスムースに回る状態で使用します。
このローラーにボンドやくずが詰まると回らなくなり
側面のメラミンに傷が付くことになります。

このルーターを使用するときはラッカーシンナーと古い歯ブラシを用意し
ローラーに付いたくずを頻繁に掃除する必要があるのです。
そうじした後は油を付けて使用します。

何度も傷を付けてしまう失敗をするとこの作業がどれだけ大切かが分かります。

***張りあわせに失敗した時はラッカーシンナーを接着面に流すとはがれます***





2014年5月6日火曜日

JonのBBQ





山城に住むジョンのお宅でBBQ。
英語の先生なのでここに来ると外人の友達がぞろぞろと集まる。
敷地の広いお宅で古民家の古材をつかった家は
身長の高い彼のサイズに合わせて天井や梁が高い
外人から見る日本の良いエッセンスがあちこちに使われている。
建築雑誌の特集にもなった事もある。

沢山の方がこの日も来られたがやっぱり日本語と英語
を話す方で分かれてしまう。会話が出来ないからなのか。
英語は出来るのだがなかなか話されていない。
話したい気持ちは有るようなのですが。

こういうときの人と居住空間や食文化を
観察することはインテリアやエクステリアの
レイアウトの参考になるので面白い。



2014年5月4日日曜日

メガネや屋さんのガラス棚 旬BBQ






一年間を通してこの季節がが一番BBQに良い季節とちゃうかなぁ。
カラっとしてるし蚊がいないしちょうどええわ。
ウチは思い立ったらすぐに焼きます。

チキンにはドレッシングで味付けします。
オリーブオイル、酢、塩、コショウに
庭のローズマリーを混ぜたものにしばらく漬け込み焼くだけです。

現在メガネ屋さんの棚を作っています。
はっきりとした希望があるのでそれに従い作っています。
こちらからは材料のアドバイスと構造をしっかり作ることです。

仕事があるだけ嬉しいことなのですが
将来の自分のありたい形ややりたい仕事などをよく最近考えます。どうすればよいのか
考えたりします。

想像力に満ちた、作ることに興奮が止まない状態を続けたい。
自分の力や持っているものを十分に発揮できる仕事がしたい。
という時にそれを認めてくれる人がいないとそれを続けることができない。
ということは評価を受ける価値観の共有から生まれる力よりも
経済的なことからそれが持続できないという理由がある。
実はこの考えの求め方は悲観的だ。

だまし絵のエッシャーという人は相当裕福だったらしい。
金と時間がないとあんなことできないと思う。
しかしそれなら貧乏芸術家の代表であるゴッホは何故作品を作れたのか
ゴッホに限らずほとんどの芸術家は経済的に満たされていない。

家具を作り始めた頃いろんなことに挑戦してみた
やりたいことや、やらなくてはならないことがいっぱいあった。
そしてそれは報酬に報われなくても時間と材料を使い作っていた
内的満足が自分への報酬でもあったからだ。

今の自分にはその内的満足だけでは生活ができない状態にある。
しかしそれも考え方で、幸せはなるものではなく、感じるものだという。

初心忘れず与えられた機会に
想像力に満ちた、作ることに興奮が止まない仕事を続けることが
そこへの道筋のひとつ
だと思う。

旬BBQ

2014年5月2日金曜日

生きるために作るのか


合板の専門店にメラミンや4x8の合板をよく買いに行く。
アメリカではCalifornia Plywood というところによく行った。
どちらも在庫の管理には整頓されたウエハウスだった。

しかしアメリカのウエハウスの従業員の作業場には
沢山のヌードのポスターが貼ってあった。
それでも仕事をする秩序は守られているのだ。

こちらの日本の倉庫はさすがに整頓されている。
何より助かるのが4x8の合板をパネルソーで切らしてくれることだ。
「ご自由にお使いください」今回初めて使ってみた。


「生きるために家具を作るのではなく、家具を作るために生きているのだ」
なんて言ってみたいね。