2011年9月14日水曜日

劇団姫オペラ「花ちりぬ」/美術指導(大道具)







京都造形芸術大学の劇団姫オペラ、第二回公演「花ちりぬ」の舞台組を
学生の美術担当者からの依頼で指導する事に成った。

今回の出し物「花ちりぬ」は石田民三監督の映画を舞台化した物で
本校講師である大林宣彦監督などの美術を手がけられる竹内公一さんによる
三面舞台のレイアウト、デザインによるものだった。

使用するスタジオは本来、演劇などの公演をする所はなく
照明の吊り元などもセットと共に組まなくてはならない事になる。

セットは幕末京都のお茶や、一尺高の舞台に濡れ縁、帳場、部屋、階段、火のみ台
などで構成され、構造は平台の上に柱、壁、敷居、鴨居、長押と建具で出来ている。

濡れ縁の巾四尺をまもり、学生が集めて来た襖の高さと巾を基準に
鴨居の高さと部屋の間口を出した。

製作費用が極端に無く全ての物を満たすには工夫が必要になった。
四寸角の柱や梁をまともに買っていては到底無理なので、
ここはウチの必殺技、メタセコイヤの製材で乗り切る事にした。

四寸巾の板を大量に製材し床、鴨居、敷居、長押そして柱も薄板作った
柱を口の字の筒にする事で中に単管パイプを仕込みそれで構造とした。

今年この大学で映画美術の授業を受け持ったが、
今の学生の力ではちょっとこれは大変すぎる仕事でもある。
僕がいなくても何らかの形で出来上がっていたかもしれないが
仕上がりはまったく違う物になっていたはずだ。

今、彼らにこのセットを作るには大道具の能力が必要になる。
パネルなどののタタキ物や塗り物はできてももうひとつ踏み込んだ大工力が要る。

今回作った物の中には、障子や板戸、出格子や階段なども有ったが
これらの物は大道具ならば誰でも作れるというものではない。

これらの美術の関係を簡単に言えばデザイナーは作曲家で
大道具はそれを具現化する演奏者なのである。

美術を志す人の中には作曲家を目指す人もいれば演奏をしたい人も要る。
演奏がしたいのであれば、楽器の弾き方を学ばなくてはならない。
こんど機会があれば「丸鋸術」を教えてあげたい。

映画学科ブログ http://www.eiga-gakka.org/blog/?p=8130 

姫オペラ「花ちりぬ」 http://himeopera.web.fc2.com/hanatirinu.html 



2011年9月12日月曜日

貸し農園の小屋 "Gable and Shed" メタセコイヤ・サイディング




京都府木津川市州見台(くにみだい)カイズホームの信号を山手に行くと
開発されたベットタウンの端に畑が広がる。
今回はその一角に「Beeがあでん」の貸し農園の小屋を四棟作った。

建設前にはいくつかのキットで買われた小屋がすでに建っていた。
農園のオーナーが自力で建てられたが基礎が不安定で傾いていたり
開口部の構造に欠陥がアリ雨漏りがひどいのも有った。

今回は同等の予算で小屋を建ててもらえないかという依頼が有り仕事を受けた。
打ち合わせの結果、簡易で安定した基礎、三坪の小屋にポーチを張り出す
などの希望をまとめ、予算に合った建築物を考えた。

構造はアメリカで学んで来たツーバイフォー。
基礎はボイド管を型にコンクリート・ピア方式/独立基礎にアンカーを付けた。
土台とステップにはクヌギを使用し、構造はすべて足場板を使用した。

今回の建築で予算低減のポイントは足場板で作る事がひとつにある。
巾200ミリ、厚み35ミリ、長さ4メーターの足場板を半分に割ると
2X4X12より少し長いめのツーバイフォーが二本とれるからだ。

開口部には防水テープとフラッシングで水の侵入をしっかりと塞ぎ
ガラス窓にはシリコンを入れて押えた。

外壁にも予算低減のポイントとして開発で出たメタセコイヤを12ミリに製材して
耳付きの状態でお得意のベイコン・ウォール・サイディングに仕上げた。

屋根の形を変えてツーパターンとし、切り妻と方流れにした。
英語ではキリズマを Gable(ゲイブル)と言い
カタナガレを Shed(シェッド)と言う。

そしてまたこのような簡易な物置の様な小屋を Shed と言い、
もう少し大きく住める様な物は Cabin と成る。

ああやっと建築らしい物も頼まれるようになって来たぞっと。