西アフリカからやって来た熱帯雨林のボセを書斎机に使用した。
このボセは大阪の平林で買いました、日本へは名古屋港に入って来ている物です。
お客さんは高級外車のダッシュボードで目の肥えている方でして
メープル・バーズアイなんかをいつも見ている方なのです。
テリ物の耳付きを希望されていてこのサイズなのでボセを使用する事にした。
ボセはセンダン科でマホガニーの兄弟です。この木の特徴は石けんの様な臭いがする事です
既に何度か使用していますが切るといつもそう思うのです。
マホガニーはホンジュラス産しかアメリカでは使用した事が有りませんが
マホガニーに比べるとちょっとカスカス目でしっとり感が有りません。
樹皮の部分がイボイボに成っているので木目が行ったり来たりしているため
カーリー、虎皮のような杢目が有ります。青木木材の森重君のお勧めもあり
「よっしゃ!これでいこ」と決めました。
この板の幅はお客さんが希望されている机の幅1200ミリには少したりませんでしたが
幅1150程のもの、厚みは70ミリ程有り長さは8メーター有った。
ウチの自動カンナが600なのでスッパリ半分に切りカンナを掛けし作業しました。
仕上がりの一番長い物で3400程、それでも二人で持つのがやっとこさです。
仮足場とチェーンブロックを設置して二階のベランダから入れました。
この作業の一番の醍醐味は搬入作業でしたね、大物を扱うのは楽しいで。
12ミリのボルトでがっちり固定して重さ数百キロの板を固定します。
これぐらいの作業に成るとやった感がある、なんか木工作家って言う感じ。
勝負は仕上げです、この木の持つ杢目をどれだけ引き出せるに掛かる。
ここでちょっと蘊蓄を言わせてもらいますと。
ある大工さんが「あの栃だけはかなわんわ」と愚痴をこぼすそうです。
栃とと言うと白木で杢目が行ったり来たりしていてカーリーの大標的な木なのです。
鉋で仕上げをするのは大工さん、針葉樹ならまだしもこんな杢の板は
鉋で削り仕上げるのは大変で、漆の下地はサンディングで仕上げます。
この杢と言うやつは木目が波を打つようになっているので逆目がでます
しかしこの逆目が美しい模様を作り出しているのでこの逆目を
奇麗に仕上げる事がポイントになる。
これらの杢目と言われる物をこちらの業界では「テリ」と言います。
きっと漢字で書くと、照るとか輝とかかな。
テリ物の仕上げについて私なりのちょっとした今回の拘り。
【Original wiping oil stain】
Watco oil の様な染料系オイルは逆目が目立つのでこのような時は敬遠しがちですが
あえて染料系オイルを使用します。
しかしこのオイルは仕上げ材としてではなくメーカーが調合した色実を
利用し独自のオイルに調合します。
仕上げのネタは煮亜麻油、ワシンウレタンニス、塗料シンナー1:1:1でして
サンマルーフと同じ物を作っておきそれに今回はワトコ・オイルを1を足した物を使用した
それに若干、ボセのピンクを色を引き立たせるためマイルドステインの赤を数滴加える。
調合したオイルをハケ塗りして一晩置いておき、翌日拭き取るこれを二回する。
オイルに浸すように塗りっぱなしで置いておくとゆっくり木の中に浸透します。
メーカーのオイルステインは作業行程が短時間で済むように塗った後に
30〜60分で拭き取るようになっています、それはウレタンやニスの様な溶剤が
効いて来ているからで、テレピン油や塗料用シンナーで薄めると少しシャバくなり
ゆっくり浸透します。
一晩置いて拭くと丁度良い具合に突っ張り感が有ります
これはウレタンが効いている事で薄い皮膜を作っているのです。
ウレタンの好まれにくい部分は吹き付けの厚塗りの感じなのです、
このワイピングステインで仕上げると薄いウレタンの皮膜が出来て
木の質感も残るのでアメリカの現代家具作家はほとんどこれで仕上げてます。
そしてテリの部分も少し染料系の塗料を混ぜているので浮き出て来ています
まあまあウチの企業秘密はこんな感じです。
現場のすぐ横が奈良の大和郡山城、桜の100選にも選ばれているところで
休憩でちょっとお花見をしに回った。
「築城せよ!」のセットで石垣や城を作ったのでどうも見入ってしまう。
石垣を見て居るだけでも飽きない、算木積みを見て思いに耽っていた。
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