山桜、引出しのヒノキ、引出しのレールの椿、ハンドルの黒柿
全て元はこのお客さんの家に生えていた木です。
普通ならば京都府の伐採業者に処分されてチップ工場でクズになっていた物を
縁有って木の伐採時から呼んで頂きこうして家具となり里帰りする事が出来ました。
お客さんと共にこの木の精を生かしたと言う
合同のプロジェクトを仕上げた達成感がお互いに出来た様に思います。
これらの木が生えていた時の話など聞かさせてもらいました。
桜の見所は何も春だけでは有りません、今も見所なのです。
ソメイヨシノなどの桜は観賞用に奇麗なのは葉が出る前に花が咲くので
花だけが見えてとても奇麗に見えます。
山桜は葉が先に生えるので花は葉と混ざって見えます。
そしてこれらのバラ科である桜は落葉樹なので葉を落とす前に紅葉します。
そうですこの山桜は秋の紅葉がものすごく奇麗だったらしいです。
黄色からオレンジの色に見事に変わって行ったと言う事でした。
人を懐かしむ様に木を懐かしむ事が出来ました。
昔のアルバムも見せてもらいましたがいくら探してもこの木の姿は有りません
いつも庭で鑑賞してたのに写真に人は撮っても木は撮っていなかったのです。
でもこうして家具と成り家族に使ってもらえる事で
また新しい命でここに生きて行きます。
帰りに裏庭の椿を観に行きました。
これは二年前、山桜を伐採した時に枝をはらヤブツバキです。
一本は伐採して今回のチェスの引出しのレールに使いました。
この木は常緑樹で今もつやつやした緑が生えています。
この木を見て分かる事は二年前に剪定してから
まだこれだけしか葉が生えていないことなのです。
この木の特徴はものすごく堅く、あまり変形しない水分の少ない木でした。
これぞ最適と思い使用したのが引出しのレールでした、他にも取っ手など堅い物が
必要な所に最適です、細工仕掛けなどに良いと思います。
この木は養分の上げ下ろしが少ないなと思いました。
落葉樹の様に秋に葉が落ち春に葉を出す物は冬に成長が止まるが
春には養分を枝に送るので幹の水分も多く、養分が通る様に導管の大きい物も有ります。
しかしこのヤブツバキは常緑樹で落葉樹の様な養分の上げ下ろしは少なく
そして成長が遅いので木がものすごく堅かったです。
椿三十郎の映画では合図に赤と白の椿を流しますが
ここの椿は全て赤だそうです。